「社員を大切にしています」。そう言うだけなら簡単です。大切なのは、それを毎日の仕事の中でどう実現するか。その中心にあるのが「経営計画書」と「MPS(ミズタニプロジェクトストラクチャ)」です。
経営計画書には、経営理念や会社が目指す未来、仕事をするうえで大切にしたい考え方、そして何よりメンバーの未来像が書かれています。「理念の金太郎飴勉強会」や部署朝礼での輪読・感想発表を通じて、繰り返しみんなで考えます。
毎週火曜日の「理念の金太郎飴勉強会」では、経営計画書について学ぶだけでなく、自分が頑張ったことや、できるようになったことを「自画自賛日記」としてメンバー同士で発表しています。
席は毎回トランプで決めるため、部署や年齢を超えた交流が生まれます。お互いの頑張りや考えを知ることが、日頃の仕事での声のかけやすさにもつながっています。
そして、その未来に近づくために自分たちの仕事をどう変えるのかを考える活動がMPSです。
MPS(ミズタニプロジェクトストラクチャ)とは
MPSは、メンバーが自分たちの仕事や職場をより良くするための活動です。トヨタ式の改善活動を出発点としていますが、現在は作業の効率化やコスト削減だけにとどまりません。
最初は5S、例えば棚の整理といった身近な改善から始まりました。その後、RPAによる業務の自動化やAIの活用など、取り組むテーマも広がってきました。
時代や仕事の変化に合わせて、MPSそのものも進化を続けています。
日々の仕事で感じる問題や「もっとこうしたい」という思いを持ち寄り、メンバー自身が考え、話し合い、実行します。活動時間は就業時間内に1日30分。
MPSは、単なる改善活動ではなく、一人ひとりが自ら考え、行動する会社をつくるための仕組みです。
経営計画書だけでは、会社は変わらない。
MPSだけでは、何のために変えるのかが分からない。
ある20代のメンバーは、入社した10数年前、「私、こんなところで続けられるのかな」と思ったそうです。今では「助け合いもあるし、分からなかったら全然聞ける」と言います。
「もし経営計画書がなくなったら?」と尋ねると「昔の空気の悪い感じに戻ると思います」と答えました。
同じ質問をした係長からは「指示待ち社員になると思います。会社がどこへ行こうとしているのか分からなければ、動けない。それなら指示を待つしかない」という言葉が返ってきました。
経営計画書は、みんなを同じ型にはめるためのものではありません。同じ方向を見ながら、一人ひとりが自分で考えて動くためのものです。
そして最近、社長自身にも気づきがありました。これまで最後に何をするか決めていたのは、ほとんど社長でした。メンバーへのインタビューを重ねる中で、「会社のことを一番分かっていなかったのは、社長だったのかもしれない」と思うようになりました。
みんな、本当によく考えている。だったら社長の仕事は、すべての答えを決めることではなく、一人ひとりが考え、挑戦し、輝ける場をつくることなのかもしれません。私たちの会社づくりも、まだ途中です。